曽野綾子氏「真の貧困は目に見える」

産経新聞・曽野綾子氏コラム“小さな親切、余計なお世話”より。


何でも使い捨ての今の時代、欲しくても手に入らない日用品、そして飲まず食わずの飢餓貧困者が世に溢れるようにならなければ現代日本人は周囲の人、物、自然の有り難さに気付くことはない。

このコラムを読んで今の生活に満足し、恵まれた環境の中、深く物事を考えず、偽善的な平和、人権を唱えている人達が、いざという生死の狭間に揺れ動くとき、過酷さに耐えきれず、真っ先に死にゆく運命であると考えます。
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この頃、日本人の多くは貧困だ、経済格差がひどい、という論文を、あちこちで読む。

私は外国で暮らしたこともないのだが、どこの国民でも、こんなに自国が貧しいと言うのが好きなのだろうか。


今年2月10日の毎日新聞に社会活動家の湯浅誠さんという方が、
「貧困の特徴は『見えない』ことにある。本当は『ある』のに、見えないことから『ない』こととされやすく、実際そうされてきた」と書いている。

確かに貧困は誰もが隠したがる面を持つだろう。

しかし貧困は必ず明らかに目に見えるものだ。
まず乞食をする子供が町中をうろつく。

日本の産経以外の全国紙は、「『乞食』は差別語ですから使わないでください」と震え上がって筆者に注意するだけで、イタリア人のように、乞食もまた彼らなりに家族を食べさせるため、金や食べ物を得る努力をしている健気な労働者だ、というふうに解釈しない。

多くの土地で、乞食の子供達は独特のサインをもっている。
もらったものを口に入れるしぐさである。
だから物乞いではなく、文字通りの食べ物が欲しい「乞食」の合図なのだから、新聞社の言いなりになれない。

貧しい子供達は食べていないから、痩せている。
痩せには2種類があるのを、慣れてくるとすぐわかるようになる。
カロリーそのものが足りない場合、骨の浮き出たアウシュビッツの囚人型になる。

これを医学的に「マラスムス」と言い、本当の欠食児童である。
それに対して外見は太って見えるが、それは一種の浮腫(ふしゅ)の結果である「クワシオルコル」と呼ばれるタンパク質不足型の痩せ方もある。


彼らは家でも食事をもらえないことが多い。
親がアル中だったり働き口がなかったりして子供の面倒を見ない。
外国のNGOなどが、せめて1食だけでも学校給食を出そうとしている。
都市部なら援助でTシャツはたくさん持っている。
ブラジルの貧しい家でも、何十枚もあった。


しかしそれを洗わず畳まず繕わず、着替えたい気分になったときには、土間のあちこちに牛の糞のように丸めて脱ぎ捨ててあるのを、拾って着ていた。
履物も、子供達の貧困を示すひとつの指標である。

昔の日本にも、裸足は一種の貧乏の証拠と思われていた時代があった。
今は裸足の子など全くいない。

しかし現代でも、ビニール草履さえ履けない子供は、アフリカなどではよく見かける。

彼らは、屋根が破れて寝床の上に滝のように雨の降りかかる小屋に住み、病気になっても医者にかかれない。


医療施設がめったになく、無料の救急車など聞いたこともなく、当然のことながら国民健康保険も生活保護もなく、親たちには仕事がないから現金もなく、病気になったら死ぬと覚悟している。

公共バス路線もないと、自分の住む村か町に以外に病院があっても、たどりつけないのである。

大学進学を諦めることが目に見えない貧困のひとつの表れだ、などと言われると、彼らは理解しがたいだろう。
私の接した世界では、貧困はすぐ目の前で見えた。

★【回顧ニュース】石原都知事 小学生が売春で1000万円稼ぐ日本人を嘆く★


いつからか、この国は「権利」や「自由」ばかりが幅を利かせ、義務や責任はどこかに消えてしまった。石原慎太郎氏が、「日本人の劣化」に警鐘を鳴らす。
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読売新聞が出した『親は知らない』という本によれば、携帯を使って売春する子供が、小学生でもざらにいるという。300万円、1000万円も貯めて、それを駅のコインロッカーに隠している。こんな風俗は他の国にはまずない。

携帯を持つことで、子供たちの世界は急に広がったのだろうが、そういうコミュニケーションはしょせんバーチャルなもの。

そこに自分の写真や、時にはヌードまで載せて売春の客を探し、手にした金で友達が持っているTシャツを買う、あるいはタレントを追いかけたり贈り物をしたりする。

そういう薄っぺらな満足のために子供たちが売春するという国は日本以外にはありません。

アメリカには国家としてのアイデンティティがある。それは「自由」です。一面ではアメリカン・ドリームというけれど、一方ではものすごい格差社会でもある。

それがアメリカです。フランスの場合には、革命で掲げた自由、平等、博愛がアイデンティティとして今もあり、公の施設ではプレートにして掲げている。

では、日本のアイデンティティは何かと問われると、今は「我欲」しかない。金銭欲、物欲、そして性欲。


それは衝動的な感情にすぎないが、それを増幅し、媒介しているのが携帯、あるいはパソコンです。テレビでは、温泉、グルメ、お笑いばかり。これは好ましいことではない。

※週刊ポスト2011年2月25日号

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先日、アムネスティ・インターナショナルが最新の死刑問題年報を発行し、2015年、­中国の死刑執行数が依然トップであると指摘。中国の死刑執行数は国家機密ですが、昨年­の執行数は「数千」で、世界一の「首切り人」と推測されます。


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